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プロ野球の人件費から、企業の適正な人件費について考察してみる

日本のプロ野球は各球団とも2月1日からキャンプがスタート、まもなく球春到来となる。

2019年シーズンがスタートする前に昨シーズンの人件費を振り返ってみたい。

以下の表は2018年のレギュラーシーズンに1勝を上げるための選手の人件費の高い順位及び年俸総額・1勝当たりの人件費である。

                (ピンクはAクラス、ブルーはBクラス)

1勝当たりの人件費が最も高額なのはソフトバンクで、その額も2位の巨人を大きく引き離している。ただし、ソフトバンクはポストシーズンに10勝して日本一になったことを加味すると、その評価は変わってくる。

プロ野球は年間143試合を行い勝った試合だけに人件費が掛かるわけでもないし、球団ごとに保有している選手層や懐事情も異なるため一概には言えないが、巨人や阪神はかなり高コストだと思われても仕方ないし、オリックス・楽天も成績に比べると割高であった感は否めない。

プロ野球の年俸は本来前年度の年俸額をベースとして今年度の成績を査定しプラスマイナスして決められるのが一般的だ。その為好成績が続けば相対的に年俸総額は上がっていき、反対にチームが下位に低迷し続ければ総額はどんどん下がっていく。上の表を見てもBクラスに居続けているようなチームは年俸総額が低い傾向にある。2年連続日本一になったソフトバンクの人件費が高いのも頷ける。ところがここにFA(フリーエージェント=一定年以上1軍に在籍した選手に与えられる移籍の自由の権利)や外国人選手の獲得や引き抜きなどのバイアスが掛かると、そのバランスが一気に崩れる場合がある。そうした理由で1勝当たりの人件費が高くなっている球団も見受けられる。

逆に広島、西武、日本ハムはかなり人件費を抑えたうえで成績も良く、経営の視点では超優良球団に見える。特に広島はセ・リーグを3連覇したことを鑑みると破格のコストパフォーマンスである。ただ選手の視点は異なる。好成績を上げチームの勝利に貢献したにもかかわらず他球団で自分と同等もしくはそれ以下の成績の選手より給料が安ければもっと高い評価をしてくれと思うのはごくごく普通の感情である。広島や西武の主力選手の中にはこれからFA権を取得しそうな選手も多く、いつまでも球団は低い人件費のままで居続けられないかもしれない。

では一般の企業の人件費はどうであろうか?ほとんどの企業では何らかの人事評価制度を持っていて、企業の業績や個人ごとの評価などを掛け合わせ給料を決めていると思われる。最近は賞与を業績と連動させる企業も多く社員の頑張りや成果に応えられる仕組みが出来ている。ただ、全ての従業員が新卒で入社し定年まで勤めあげる訳ではない。中途採用や引き抜きなどで入社する社員が出てくると本来の給与体系のバランスが崩れてしまうとこもあるかもしれない。超人手不足時代にあっては超好待遇を提示しなければ優秀な人を雇うことは出来なくなるし、逆に自社の人材を流出させないために色々と苦労されることもあるだろう。

中小企業実態基本調査によると平成25年度の売上高総利益率に比べ平成27年度は1.12%上がっているが、労働分配率は0.91%下がっている。いくら人手不足とはいえ人件費を上げすぎて経営を圧迫してしまっては元も子もないが上げないことが最良の策とも言い難いところもある。プロ野球で言えば決算報告をしている9球団のうち当期純利益が赤字の球団は3つもある。一方最も人件費が高いソフトバンクは2016年度は約13億、2017年度は約8億の利益を出している。社員の頑張りにしっかり報いてあげることが大事ではなかろうか。

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