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派遣労働者の同一労働同一賃金④ 労使協定方式の進め方(前編)

以前のブログで、派遣先均等・均衡方式について説明しましたが、今回は「労使協定方式」について説明します。

 

労使協定方式は文字通り派遣元の労使で待遇等に関する協定を結ぶことで、派遣先は関与しません。

労使協定ですので、労使自治の原則のもと労使での話合いで決めることになります。

しかし、何でも労使に委ねるというわけではありません。協定を結んだ結果が低賃金のままでしたら、同一労働同一賃金という目的からは外れてしまいます。

賃金については、一定のラインが決められています。

 

まずは賃金の決定方法を理解する

 

労使協定の対象となる派遣労働者の賃金には、基本給、手当、賞与、退職金が該当します。

ただし、手当には残業手当や休日出勤手当といったものは含みません。考えられるのは、役職手当や家族手当、皆勤手当、作業手当などでしょうか。

この賃金が、派遣労働者が従事する事業所の業務と「同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金額」と同等以上であるこが求められます。

一般労働者ってどういう人を指しているかと言えば、正社員のことになります。

もっと詳しく言えば、派遣先と同じ地域に勤める、同種の業務に従事する、同じ能力や経験がある正社員の給料(これを「一般賃金」といいます)と同等以上ということになります。

 

でも正社員の給料ってどうやって調べるの?と思いますが、親切に職業安定局長が毎年6~7月に職業安定局長が通知を出して教えてくれます。これをもとに4月からの賃金を労使で決めなさいということになります。

来年の4月から同一労働同一賃金がスタートですので、今年は7月8日に局長通知が出ています。2種類の統計が示されていますので、下記のアドレスからそれらを確認してください。

 

https://www.mhlw.go.jp/content/000526706.pdf

 

https://www.mhlw.go.jp/content/000526707.pdf

 

一般賃金は、①基本給・賞与・手当等(一般基本給・賞与等)、②通勤手当(一般通勤手当)、③退職金(一般退職金)の3種類で構成されています。

この中で、②通勤手当と③退職金についてよく理解出来ないと感じる方が多いのではないでしょうか。

 

通勤手当と退職金

 

通勤手当に関しては、色々な統計から導き出して、現在の一般通勤手当の額を時給換算すると「72円」になるとしてます。この72円と同等以上を確保すれば大丈夫ですが、手法としては、通勤手当を実費支給するか、72円以上の金額を定額支給するという2通りのやり方をするようにとなっています。

定額支給が分かりにくいかもしれませんが、1時間当たり72円以上の額を手当として時給にプラスするか、通勤手当込みの時給として現在の時給に72円以上の額を含めてしまうという方法になります。なお、全派遣従業員一律の額にする必要は無く、距離に応じてや交通手段に応じて変更しても構いません。

また、実費支給の場合、制度として徒歩圏内(片道2キロ以内が一般的です)で通勤している人には支給しないということにしているならば、通勤費を支給しないことは問題ないです。

また、地域によっては公共交通費やガソリン代が全国平均より安く、72円が高いと感じる所があるかもしれません。そういった地域は、地方公共団体が出している統計資料があるならばそれを参考にして独自の一般通勤手当の額を算出することが出来ます。

 

退職金については、3通りの支給方法があります。

 

1つは、会社独自の退職金制度に基づいて退職金を支給する方法です。

この場合は、局長通知で、一般退職金を受給に必要な所要年数、支給月数、支給額等の制度に関する統計が提示されるので、それと退職金制度を比較して同等以上であれば良いです。

なお、7月の局長通知を見ますと、受給に必要な所要年数は、自己都合の場合は、3年以上年未満としている企業が全体の56.2%と最も多いです。つまり、3年未満で退職した場合は退職金を支払わない、という制度設計をしても問題がないということです。

金額を見ますと、大卒で勤続3年の一般職が自己都合退職した場合のモデル退職金が32万4千円、勤続5年で54万1千円となっています。労使で話合い、この金額から大きく下回らないような制度設計であれば問題がありません。

 

2つめは、退職金の費用を毎月の賃金等で前払いする方法です。

局長通知で一般退職金の費用が示されるので、その額と派遣労働者に支払う退職金相当の手当額とを比較して同等以上であれば良いです。

今年度の局長通知では、一般基本給・賞与等の6%以上とされています。

ですので、一般基本給・賞与等(時給)が1,000円の人の場合は、60円を時給に上乗せするか、60×1ヶ月の労働時間数を退職手当として支給すれば問題ないです。

 

3つめは、中小企業退職金共済制度(中退共)や確定拠出年金制度などに加入する方法です。

この場合は、掛け金が局長通知で示される一般退職金の退職費用の水準以上であれば

同等以上とされます。先ほど述べたように、今年度の退職費用は一般基本給・賞与等の6%以上とされていますので、この金額を掛け金にします。あくまで掛け金なので、実際派遣労働者が受け取る金額は問題になりません。

 

なお、2つめの方法と3つめの方法をミックスするやり方(例えば60円を退職手当で30円と中退共の拠出に30円に分ける)でも大丈夫です。

一般通勤手当と一般退職金を時給に合算して支払うこともできます。

また、現在の時給が高く設定されていて、比較対象となる局長通知の統計上の賃金に一般通勤手当と一般退職金を含めた金額より現時点で上回っているようでしたら、現在の時給のまま据え置くことも可能です

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