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岐路に立つお正月営業

多くの百貨店が1月2日に初売りを行い、例年のように福袋やセールを買い求めるお客様で賑わいました。

しかし、売上げを見てみるとどこの店舗も今年は厳しかったようです。原因は色々あると思いますが、最も大きな要因は暖冬で冬物衣料の売上げが鈍かったことと、消費税の増税にあるのではないでしょうか。

しかし、暖冬は今年に限ったことではありません。一昨年は寒い冬でしたが、昨年や2016年は暖冬でしたし、恐らく来年以降も地球温暖化の影響などで冬は暖かくなる確率は高いです。にもかかわらず、いまだに売上げ悪い原因を気候のせいにしてしまうのが今の百貨店の限界を物語っています。

増税は仕方ないですが、その影響を吹き飛ばすほど福袋にお値打ち感を見いだせないのも問題です。

 

それよりも少し前までは、お正月に家にいても面白くないから買い物に行こう!!という気運がありましたが、年々それが薄れてきているのではないでしょうか。

逆にお正月くらいは家族とのんびり過ごしたいと思う人が増えてきているように思えます。

ライフスタイルが変化しているということも百貨店や小売関係者は敏感に察知すべきですね。

 

コンビニの正月休みから小売の将来が見える

 

年末年始に一番驚いたのがついにコンビニまで正月休みや時間短縮での営業を始めたというニュースです。

ローソンが102店舗、セブンイレブンが首都圏の約50店舗が実験的に正月を休みにしました。またファミリーマートは、休業はしませんでしたが、人手不足の店舗は本部社員が代わりに店頭に立つという試みをしました。

今年は実験という名目で、限定的でしたが、人手不足やオーナーの疲弊に対応する動きが急速に進んでいるという印象です。

 

私が驚いたのは、正月に休んだことでなく、世間が正月休みを好意的に受け止めたということです。あくまでネットでの反響ですが、むしろ賞賛されていたくらいでした。

実際はコンビニが休んで不便で憤慨している人も大勢いたかもしれませんが、それを完全にかき消すくらいの好印象の声ばかりでした。

便利さを追求し続けた社会から、お店の人に無理をさせてまで便利さを求めることはないと考える優しい社会に変化してきていると推測されます。

この動きは決して見逃してはいけないと思います。

これからは、年中無休24時間のお店より、定休日や時短営業をするお店の方が支持されていくというパラダイムシフトにあるということです。

 

補足になりますが、スーパーや外食チェーン店の一部も年末年始に休業にしたり時短営業をしたりしました。深刻な人手不足の中、この動きは来年以降ますます加速していくでしょう

 

 

従業員はどう考えているか

 

今回休日になったコンビニ店舗のオーナーは、何年かぶりの家族でゆっくり過ごすお正月を楽しんだのではないでしょうか。

ただ、ゆっくり休みたかったのに家族サービスで疲れたという方もいたかもしれません。

 

私が百貨店に入社した当時は、正月三が日は定休日でした。

やがて3日から営業になり、その後2日が初売りになりました。

今ではほとんどの百貨店は2日が初売りです。

働いている者としては、この業界に入ったからには正月やお盆に休めないというのは仕方ないと考えています。その代わり、一般の企業の従業員が働いている時にゆっくり休めるからいいかなと思っています。そして、2日から働くことにすっかり慣れてしまっています。

 

しかし、私が勤めていた百貨店では改革派の社長が、常識破りの3日初売りに変更しました。理由は、お正月はゆっくり休んで英気を養って、3日から元気に働いて欲しいという働き方改革に先駆けた取り組みでした。定休日が増える分、出勤率も高くなり店頭の人手不足感が薄まるという狙いもありました。

ただ、当時は名古屋のお店では耐震工事を行っていて店舗面積が削減され売上げが厳しい状態で、他の支店と同じように3日初売りで良いのか?と議論になりました。

その際、従業員に2日初売りがいいか3日初売りがいいかアンケートを取りました。

私は3日初売りを推す人が多いのではと予想しましたが、結果はわずかながら2日を推す人が多かったです。

「お店の売上が心配」「休日が増える訳ではないから、いままでどおりで構わない」という理由が多かったです。

 

最終的には本社から3日初売りで統一するようにとの指示で、その年は3日が初売りになりました。3日も非常に多くのお客様がご来店されました。ただ、前の年と比べるとやはり売上げは厳しかったです。

ただ従業員の声は、「久々にお正月にゆっくり出来て良かった」と好意的でした。

やはり休めるのは嬉しかったのですね。

 

ちなみに、改革派の社長は更迭され、現在は2日初売りに戻っています。

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