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派遣労働者の同一労働同一賃金⑨ 労使協定を作った後は

前回、前々回のブログで労使協定作成にあたって気を付けることについて説明しました。

 

では、協定書を作成したあとはどうすればいいのかを説明していきます。

 

 

○従業員代表を選出する

労使協定ですので、会社と従業員の代表が協定を結ぶということになります。

会社に組合があれば、組合の委員長と協定を結ぶことになりますが、ほとんどの中小企業には組合が存在しないので、従業員の過半数を代表する者(過半数代表者)を選ばなければなりません。その選び方ですが、基本的には36協定のときと同じようになります。

ただ、36協定の代表者の選出方法については、36協定が新方式に変わることもあり、法律上要件が厳しくなっております。

具体的には、「使用者の意向に基づき選出された者でないこと」という条件が追加になりました。あくまでも、従業員による選挙や話合いによって選出しないといけないということです。

また、従業員数には、パート・アルバイトも含めないといけません。労働組合がある会社は、組合と協定を結べばいいんでしょと考えているところもあるかもしれませんが、社員だけで組織する労働組合の場合は、組織率が50%未満だったということもあり得るので注意する必要があります。

特に今回の労使協定は従業員の処遇全体に関わる大変重要な協定になりますので、社長の側で働いていて、言うことを何でも聞いて素直に実行しているような人を勝手に選んで協定を結ぶと、派遣労働者から反発を受けて思わぬ事態におちいりかねません。初めての協定ですので、慎重に行うのがベストでしょう。

 

 

○過半数代表者と協議して協定を締結する

労使協定の内容を労働組合や過半数代表者と協議し、問題はないか、待遇面で不満はないかなどを協議します。

正しいやり方としては、代表者が協定内容を持ち帰って従業員と話合いの場を設けて意見収集をします。その際は、従業員からの求めがあれば、会社側は会議室や休憩室の利用を認めたり、メール等を使って意見収集をしたいという要望があれば、社内メールを使うことを許可したりといった配慮をしないといけません。

派遣従業員は、各の派遣先の会社に散らばっているので皆の意見を集めるということは現実的でないかもしれませんが、会社側は極力従業員の意見を聞くという姿勢を見せた方が良いでしょう。

 

意見収集後、問題があれば協定を修正し、無いようであればそのまま協定を締結します。

 

なお、厚労省のマニュアルでは、過半数代表者と協議し従業員の意見を集めてから協定を作成という順番になっていますが、漠然とした状態で話合いや意見収集をしても難しいのではと思いますので、実務上は協定を作成してから話合いや意見収集をするという順番の法がベストだと思います。

 

 

○就業規則に反映、そして従業員に周知

 

常時10人以上雇用している事業所は就業規則を作成する義務があります。

今回の協定が、就業規則の内容を変更しないといけない場合は、必ず就業規則の該当箇所を変更してください。賃金、評価、昇給、退職金、通勤手当、福利厚生などの箇所は該当する可能性が高いです。

就業規則を変更した際は、労働基準監督署に届け出ることも忘れずに行いましょう。

その後、労使協定や就業規則を従業員に周知=いつでも見られるようにする必要があります。

方法としては、文書を交付する(書面・データどちらでも可)、休憩所など従業員が見やすい場所に備え付けたり掲示をしたりするなどの方法があります。また、従業員が希望した場合は、FAXやメールでも大丈夫です。なお、メールについては記録を出力できるようにする必要があります。ですので、PDFなど添付ファイルで送るのが良いでしょう。

 

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