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令和元年度の最低賃金

去る7月31日に中央最低賃金審議会(学者や労働者側代表、使用者側の代表が集まって最低賃金について話し合う会)が示した地域別最低賃金額改定の目安を参考として、各地方の最低賃金審議会で審議したすべての都道府県の地域別最低賃金額改定の改定額の答申の結果が、8月9日に厚労省から公表されました。

引き上げ額ですが、26円~28円、全国加重平均で27円となりました。これは、昭和53年度に目安制度が始まって以降の最高額です。 ※全国加重平均とは、分かりやすく言うと都道府県別の労働者数を考慮した平均額です

改定額の全国加重平均額は901円とついに900円台に突入しました。なかでも東京都と神奈川県はついに最低賃金額が1,000円を超えたというのが大きな話題となりました。(東京→1,013円、神奈川→1,011円)

また、東北や九州などを中心に19の県が、中央最低賃金審議会が示した目安以上に最低賃金を上げています。一番多い鹿児島県には3円も上回っています。東京の人が考えるより地方は大変だということです。これにより、地方間の格差もどんどん少なくなってきています。景気の動向や人手不足による採用難、他県への労働者の流失防止などが理由にあると思われます。

引き上げ率は、平成28年度以降毎年3%以上で推移しています。これは、アベノミクスにより全国的に企業の業績が上昇傾向が続くなか、労働者にも賃金アップによりその成果を分配して、更にはそれを消費に繋げ、成長と分配の好循環を生み出し続けたいという政府の意向が強く働いているからです。事実今年の骨太の方針にも、「より早期に全国加重平均が1,000円になることを目指す」と記載されています。10月には消費税増税が予定されており、来年はより高い引き上げ率になることが想定されます。

愛知県は今回の改定で、898円から926円になりました。このペースで行くと、3年後には1,000円を超えます。)

なお、新たな最低賃金の対象になるのは愛知県の場合は、10月1日以降の労働分からです。例えば、給与の締め日が月末で給与の支払いが翌月25日の企業の場合、11月25日に支払う賃金は1時間あたり926円を上回らないといけません。

最低賃金の上昇は、働く人にとっては生活が豊かになるという側面があります。一方で経営者にとっては、必ずしもありがたいことではないと思うかもしれません。全体の給料を上げることをしなければいけないため、能力の高い人や頑張っている人の給料を上げられないということも起こり得ます。ただ、日本の企業の賃金は世界の先進国に比べるとかなり低いです。(どれくらい低いかと言うと今や台湾や韓国より低いのです)今後は、最低賃金1,000円超の時代がすぐそこまで来ているということを意識して、生産性の向上、ムダの排除といった取組をしていかなければいけないでしょう。

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