「臨時休業日に従業員全員一斉に有給休暇を取らせたことにしよう」
これっていいの?ダメなの?
先日の台風19号は、近年にも例のない超大型台風で、しかも日中に東海地方から関東地方を通過することが予測され、また、交通機関も予め運行停止にすると発表されていたので、臨時休業にする店舗や会社が多かったと思います。
さて、臨時休業で全社員休みにするなら、5日間取得義務化もあるし、この日に年次有給休暇を取らせればいいのでは!と考える経営者の方もいたかもしれません。
では、臨時休業日に年次有給休暇を取らせることは可能でしょうか?
残念ながらそれは出来ません。
年次有給休暇の目的は、労働者の心身の疲労を回復させリフレッシュする、仕事と生活の調和を図るというものです。よって労働が義務付けられた日(所定労働日)に年次有給休暇を取得し休むことに意義があります。厚生労働省も「労働義務がない日については年次有給休暇を請求する余地がない」と言ってます。台風による臨時休業日は、労働義務がない日となりますので、年次有給休暇の取得は難しいと考えられます。
計画的付与とどう違うのか?
似たようなケースとして、有給休暇の計画的付与を採用している会社やお店で、あらかじめ会社は臨時休業日として、その日を全員一斉に有給休暇を取得させるという場合があります。
※計画的付与とは、経営者と従業員の代表者が協定を結んで、有給休暇を与える時季を決めることをいいます。方法は全員に一斉に有給休暇を取らせたり、年間スケジュールに落とし込んで、個人ごとにこの日に取りなさいと決めたりする方式などがあります。
この場合は、事前に会社と従業員が話し合って決めたものであり、
『従業員が一斉に休む→会社を休みにしないといけない』
という順番なので、臨時休業日でも有給休暇を取得させることが出来ます。
一見同じようなことでも、主旨は違うので、この辺の解釈をねじ曲げて、従業員と話し合って計画した有給休暇だ!と主張したりしないようにお気をつけください。