厚生年金加入の企業規模要件を撤廃へ
政府は、厚生年金の加入者を増やすため、中小企業の短時間パートタイマーにも厚生年金の入を義務づけることを検討し始めました。
そもそも、パートタイマーのうち正社員の所定労働時間(就業規則や契約で決められた労働時間のこと。残業時間や休日出勤の時間は含みません)の4分の3未満しか働かない者は、①1週間の所定労働時間が20時間未満、②月給が8万8千円未満、③雇用期間が1年未満の契約で以後の契約更新はないとあらかじめ決められている、④学生(夜学は除く)である、のいずれかの要件に該当すれば厚生年金に加入することは出来ません。
ただし、平成28年10月1日より、従業員が501人以上の企業に勤めているパートタイマーは、たとえ正社員の4分の3未満しか働かなかったとしても、
①月の給料が、8.8万円以上
②継続して1年以上雇用されることが見込まれる
③1週間の所定労働時間が20時間以上
④学生でないこと
の4つの条件の全てを満たせば、強制的に厚生年金に加入することになりました。
この要件を満たして、新たに厚生年金に加入したのは約40万人とされています。
ただ、老後資金2,000万円不足問題で言われたように、国民年金だけでは老後の生活に不安があること、また厚生年金の加入者を増やして財源を多くしたいという理由から、
従業員501人以上という要件を撤廃し、全ての企業で働いているパートタイマーに上記の条件に合った場合は厚生年金に加入することを義務付けようと検討をはじめました。
2020年の夏頃には国会で法案を成立させる方向であるらしいです。
(2021年4月に施行か?)
これにより、新たに125万人が厚生年金に加入すると試算されています。
しかし、大企業ならいざ知らず、中小企業にとっては従業員の社会保険料の負担は大きく、
所定労働時間を短縮し、週の所定労働時間を20時間未満にするようなことが増えることも充分予想されます。
今後経済成長が続き人手不足が常態化すれば良いのでしょうが、果たして政府の思惑通りにいくのでしょうか。
なお、配偶者の扶養に入っていて保険料を払っていない第3号被保険者も、今後は保険料を払う必要が出て来ます。(もちろん、受け取る年金は増えます)