10月のお店の売上はどうでしたでしょうか?
11月に入り、10月の百貨店などの売上速報が発表されました。
まず、名古屋市内の百貨店売上ですが、4百貨店とも全て2桁マイナスと駆け込み需要の反動の影響が出ています。4百貨店合計で前年▲15.9%と大幅な売上減になっています。
特にブランド品、宝飾品、美術などの落ち込みが大きかったです。
この傾向は東京でも同様で、三越伊勢丹、大丸松坂屋、高島屋はそれぞれ前年20%前後マイナスになりました。
これを持って直ちに増税の影響は大きかったと言えるかといえば、そうとは限らないと思います。
10月に関しては増税だけではなく、台風19号の接近にともない、土曜日に臨時休業にした影響も大きかったからです。また、天候不順による外国人観光客の減少によるインバウンドの売上減もあります。そして、韓国人の旅行客の減少も少なからず影響はあったと思われます。
百貨店関係者の話を聞きますと、先月の売上減は、台風の影響を除けば想定の範囲内に収まったようです。
軽減税率やポイント還元といった施策が効果あり!!
まず、軽減税率を導入したことにより、食料品に関してはほぼ影響がなかったことがあります。指標として、全国のスーパーマーケットの10月の売上が発表されていますが、食料品は既存店ベースで前年▲1.7%にとどまっていることがあります。こちらも台風19号の影響やここ最近のスーパーマーケットの苦戦を考えると健闘している方ですし、また、名古屋市内の百貨店の中で最も食料品の売上割合が多い名古屋三越星ヶ丘店は、前年▲6.5%に踏みとどまっていることなど、食料品の影響の少なさが増税による消費の落ち込みを抑えたと言えます。
またキャッシュレス決済によるポイント還元も効果的でした。
これは、事前に登録したコンビニや中小店が、クレジットカードや交通系ICカード、スマホ決済など、現金以外で代金を支払うと2%もしくは5%が還元される制度ですが、還元額が1日平均で10億円と当初の想定を上回っており、予算が足りないのではという懸念が出るくらいです。私も、増税したのに増税前より安くなっていることに驚き、それ以来スマホ決済もしくはクレジットカードでの支払いしかしなくなりました。
ただし、キャッシュレス還元については問題点も多く指摘されています。まずは、セブンイレブンの7ペイ問題で起こったセキュリティに対する不信感があります。また、小規模店舗で対応が遅れているところは、コンビニや中規模スーパーにお客様を奪われる可能性も高いです。小規模店舗は、手持ちの現金で商品を仕入れて営業しているところは少なくなく、元々対応が困難なところもあります。
そして、軽減税率はずっと続いて行くのに対し、キャッシュレス還元は来年の6月までと期限が決められているので、その後どのようになっていくかは注視しないとけません。
インバウンドの売上が多い都心部のお店は、消費税増税は関係ないので、観光客が減ることさえなければ、増税の影響は少なくなるでしょう。
もう一つ、今回は3%アップした前回の増税と違い、2%のアップということで負担が少ないという思いも影響しているのではないでしょうか。
まだ、1か月しか経っていないので、これからどうなるかは分かりません。
イートインスペースが有るコンビニエンスストアや、テイクアウトが出来るカフェやファーストフード店ではイートイン脱税(店内で飲食した場合は消費税が10%になるため、持ち帰りと偽って8%で商品を購入して店内で飲食をすること)という新たな問題も出ています。
また、消費税増税分は社会保障に使うということでしたが、増税後に社会保障の負担増やサービス減になるような政策案もちらほら出始めており、将来への不安はほとんど拭えていません。消費者の財布のヒモが一層固くなり、個人消費が冷え込むことがないように祈ります。