助成金の中で、もっともメジャーで申請が多いのが、キャリアアップ助成金です。
助成金と言えば、このキャリアアップ助成金をイメージされる経営者の方は多いと思います。
パートタイマーが正社員になった際に助成金が支給されるというのが一般的です。
このブログでは、キャリアアップ助成金について解説します。
まずはキャリアップ計画書を出すこと
キャリアアップ助成金は7つのコースがありますが、全て事前にハローワークか労働局にキャリアップ計画書を提出しないといけません。事前にというのは、助成金の対象となる取組を行う前日までです。
どのコースであっても計画書の書式は同じです。
決めなければいけないこと
①キャリアアップ管理者・・・大きくない会社は社長です。大きい会社は人事か総務担当部長レベルの人
②キャリアアップ計画期間・・・3年以上5年以内となっていますが、5年にするのが多いです。
③対象者、目標、措置など・・・目標は、あくまで目標です。その通りにならなくても構いません。あとのことは、厚労省のHPを見るか、社労士など詳しい人に聞いて下さい。
そして、もっとも大切なのが、有期契約労働者等を含む全ての従業員の代表者からキャリアアップの取組について意見を聴くことです。計画書には、従業員代表者の自筆の署名と押印が必要になります。
正社員化コース
パートタイマーや契約社員を、正社員や無期のパートタイマー(契約期間はなく、定年まで働けるという労働契約)にすることで支給される助成金です。
支給額(1人あたり)
①有期→正社員 | 570,000円(720,000円) |
②有期→無期 | 285,000円(360,000円) |
③無期→正社員 | 285,000円(360,000円) |
カッコの中の金額は生産性要件が達成された場合の金額です。
※生産性については、以前のコラムを参考にして下さい。
①~③1年度1事業所あたりの支給申請上限人数は20人までです。
つまり最大で、1年度1,440万円まで助成金をもらうことが可能です。
押さえておかなければいけないポイントは以下のとおりです。
①6か月以上3年以下の期間働いたパートタイマーや契約社員が対象
②社員(または無期)に転換した後6か月間の賃金は、転換前6か月より5%以上アップする必要がある
③就業規則に、転換制度があることを記載すること
④対象従業員は、経営者や取締役の3親等以内の親族ではないこと
⑤正社員の求人に応募して入社した従業員でないこと
②についてですが、基本給で5%アップする方法が望ましいです。ただ、賞与で5%アップする方法も出来ます。その場合気を付けなくてはいけないのは、基本給や定額で支給されている諸手当が、転換前より下げてしまうのは絶対ダメです。
賞与は会社の業績や個人の成績に連動する場合が多いと思うので、賞与で調整したいというお気持ちは分かりますが、最低でも、基本給はパートの時と同じにしないといけません。
③については、就業規則には、転換時期(例 毎月1日、4月1日など)、転換方法(例
面接試験を行い合格した場合)、本人の同意に基づくものであること(例 本人が希望する場合は、 本人が申請し、所属長の推薦がある場合は、など)を記載する必要があります。
特に気を付けなければいけないのが⑤です。
これは、今年度から新しく追加された条件なので、知らない方もみえるかもしれません。
たまに、「社員に応募してきたけど、本人と話して半年後には正社員に必ずするからまずは契約社員(もしくはパートタイマー)にすることにした、という場合でもキャリアアップ助成金ってもらえるの?」というような問合せがあるのですが、昨年までは大丈夫でしたが、今年からは対象外になります。
ハローワークなどで求人票を出す際は、有期契約社員(もしくはパートタイマー)での募集と必ず明記するようにして下さい。
申請までの流れは以下のとおりです。
1 ハローワークなどで求人をして、パートタイマーや有期契約社員を採用
↓
2 キャリアップ計画書を提出
必ず転換する日の前日までに提出すること
↓
3 就業規則などに転換制度を定めて、従業員に知らせる
就業規則は労基署に提出しなければいけません。
従業員が10人未満の会社は、就業規則の作成義務は無いので、申立書で代用も出来ます。
※2と3は順番が入れ替わっても問題ないです。
↓
4 就業規則に規定した面接試験や筆記試験を実施
↓
5 正社員などに転換
↓
6 6か月間賃金を支払う
賃金は転換前より5%以上アップしなければいけません。
↓
7 支給申請