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派遣労働者の同一労働同一賃金⑤ 労使協定方式の進め方(後編)

昇給をどうするかを決めます

 

労使協定方式に関しては昇給の仕組みについても決めなくてはいけません。

派遣労働者の職務の内容、成果、意欲、能力、経験等の向上があった場合に、基本給・賞与等が上がる評価システムや賃金テーブルが必要になります。

特に派遣を専門にしている企業は、派遣労働者の経験年数に応じて昇給する場合が多く、しっかりとした評価や賃金テーブルを作っていないところが多いのではないでしょうか。

この機会に、見直しをして作成をする必要があります。

 

賃金テーブルに関しては、複雑なものを作る必要がありません。

局長通達の職種別平均賃金の表には基準値(経験0年)と、能力・経験に応じた指数(1年、3年、5年、10年、20年)が示されてますので、これを利用するのが良いと思います。

 

シンプルな賃金テーブルの例が「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編)」にありますので、こちらを参考にすると良いです。

https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

こちらのP.90~91を参照してください。

まず、派遣労働者の職務を初級・中級・上級(A~Cランク)の3ランクに分けています。

仕事を開始した時点をCランクとして、職務の内容や経験・能力が変われば、基本給・手当等が上がっていくようにします。

ここでは、3パターンの方法を取り上げています。

 

<例1>同じ職務であっても、派遣労働者の経験・能力の向上があった場合、手当を追加支給する。

基本給・手当額の1~3%の範囲で能力手当を支給するとしてます。

Cランクの1,000円の人の場合、1時間当たり10~30円を支給します。

職務の内容が変わることのないような業務に就いている派遣労働者が多く、かつ基本給を上げたくないと考えている企業に向いています。

 

<例2>職務内容等の向上があった場合に職務の内容等の向上に応じた基本給・手当等を支給

 

Cランクの職務であっても、能力等に向上があった場合は、1号俸→2号俸→3号俸というように基本給・手当等の金額を上げていきます。

例1と違い、基本給そのものを上げていきます。いわゆる昇給という形になります。

 

<例3>職務内容等の向上があった場合により高度な業務に係わる派遣就業機会を提供

本人の能力等が向上した場合、初給→中級→上級と職務をレベルアップすることで賃金もアップしていく方法です。

このケースで気を付けないといけないのは、職務をレベルアップしない限りたとえ能力等がアップしても賃金が上がらず、同一労働同一賃金の主旨から外れてしまうということです。

 

個人的には、例2と例3を組み合わせたパターンが良いと思いますが、実際は派遣業務が変わることのない職場が多いのかもしれませんので、その場合は例2が一番分かりやすくていいのではないでしょうか。

ただ、基本給を基に賞与や退職金を計算するような場合は例1を選択することもあり得ます。

 

※ちなみにこの例示には、賞与が含まれていませんので、局長通達で出された賃金表より金額は少なめになっております。

 

こういった形で、同一労働同一賃金の主旨に沿った派遣労働者の職務や能力に見合う、かつ労働者のモチベーションも上がるような賃金テーブルを作る必要があります。

 

 

賃金以外の待遇を是正・整備する

 

賃金以外の待遇とは、福利厚生や教育訓練をいいます。

福利厚生については、従業員食堂、休憩室や更衣室は派遣先の通常の労働者と派遣労働者との間で不合理な待遇差を設けてはならないとされています。その他の福利厚生は、派遣元の通常の労働者と派遣労働者との間での不合理な待遇差が無いようにしないといけません。

それぞれ比較対象が異なるので間違えないようにお気をつけ下さい。

なお、派遣労働者が従業員食堂、休憩室、更衣室を利用することは派遣先の義務となってます。その他の、娯楽室や運動場、売店などの利用は配慮をするようにということにとどまっています。

その他の福利厚生は、主に慶弔休暇をはじめとする法定外の休暇や病気休職などを指します。

 

ここまでやって、派遣労働者の待遇を決定し、ようやく労使と話し合って労使協定を締結するという流れになります。

 

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