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派遣労働者の同一労働同一賃金⑧ 労使協定をつくるときに気を付けること(中編)

前回のブログでは、昇給までを説明しました。今回はその続きになります。

 

 

4.退職金について

 退職金と通勤手当は、同種の業務に従事する一般労働者と同じ待遇にするという主旨から、詳細に記載する必要があります。

 

退職金は前払い方式なのか、中退共(中小企業退職金共済制度)、確定拠出年金等の掛け金なのか、退職金制度にするのか、どの方法を取ってどういう支払い方をするのかを明示します。

前払いにする場合は、

「対象従業員に対して、別表○の一般基本給・賞与等の額の6%の額を前払い退職金として支給する」

というような書き方になります。

 

中退共の場合は、

1.対象従業員の退職手当は、独立行政法人勤労者共済金共済機構・中小企業退職金共済事業本部との間に退職金共済契約を締結することによって行うものとする。

2.前項の掛金月額は、別表○の一般基本給・賞与等の総額の6%以上の額とする。

3.掛金の納付があった月数が12月に満たないときには退職金は支給しない

というようになります。(中退共は12か月以上掛金を納付しないと本人に支給されません。つまり、1年未満で退職した場合は、退職金は不支給になります)

 

退職金制度にする場合は、まず退職金を受け取れるためには何年以上勤務しなければいけないかを定義付けます。

以前ブログで説明したように、通常は3年以上勤務が条件になりますので、

退職手当の受給に必要な最低勤続年数は、通達に定める平成30年中小企業の賃金・退職金事情(東京都)の退職一時金受給のための最低勤続年数において、最も回答割合の高かった3年(自己都合退職及び会社都合退職とも同じ)とする

と定めます。

次に支給か月を明示する必要があるのですが、別表を添付して、比較した統計の支給か月数と自社の支給か月数を並べた表を作る方法が簡単なやり方です。ただし、退職金に関しては複雑な事情が絡むことも多いので、この際退職金規程を別に作成をし、「退職金の支払い方法などの詳細は退職金規程の定めによるものとする」という方法でも大丈夫です。

しっかりと退職金を運用したいのであれば、退職金規程を作ることをお勧めします。

なお、すでに自社で退職金規程があれば、支給か月数もしくは支給額が少なすぎない限り、そちらをそのままご利用ください。

 

 

5.通勤手当

 通勤手当については、まず実費を支給する場合は、

「通勤手当は、通勤に要する実費に相当額を支給する」

だけで大丈夫です。徒歩通勤には通勤手当無しの場合は、

「ただし、徒歩により通勤するもので、片道の通勤距離が2㎞未満である場合は支給しない」

の一文を付け加えてください。

72円以上を支給する場合は、

「通勤手当は、72円に1ヶ月の所定労働時間数を乗じた額を支給する」

「通勤手当は、月額○千円を全対象従業員に支給する」

などになります。

就業規則に通勤手当が記載されてかつ条件を満たしていれば

「通勤手当は、就業規則第○条に従い支給する」

で良いです。

 

退職金、通勤手当ともども基本給の中に含めることも可能です。

現時点で、時給単価が高く、同種の業務に従事する一般労働者の賃金と比較して200円くらい上回っているようでしたら、通勤手当と退職手当は含まれていることにしても構いません。

基本給に含める場合は

「対象従業員の基本給には、通勤手当、及び前払い退職金として、別表○の一般基本給・賞与等の6%以上の額が含まれている」

などの書き方になります。

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