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時間外労働改善助成金のテレワークコースの特例について

満員電車で通勤することや、従業員同士が濃厚接触をすることで新型コロナウイルスに感染するのを防ぐため、出社せず自宅等でテレワークをする企業が急増しました。

とはいえ、準備期間も短く見切り発車で始めた企業は、資金的にも余裕がなかったり、社内制度も充分整っていないなどという問題もあります。

そこで、国が、企業の緊急支援策として従来からある助成金の特例を行うことにより支援をしていくことになりました。

 

○時間外労働改善助成金とは

 

そもそも時間外労働改善助成金とは、読んで字のごとく、残業時間を削減し総労働時間を縮小して、社員のライフワークバランスを実現することを目指す企業に助成をする制度です。

時間外労働上限設定コース、勤務間インターバル導入コース、テレワークコース、職場意識改善コースがありますが、今年度は勤務間インターバル導入コースの申請が急増したこともあり、一度でも耳にした方は多いのではないでしょうか。

ただ、予算が枯渇するほど人気だった勤務間インターバル導入コースに比べれば、テレワークコース・職場意識改善コースとも認知度も申請数も少ないのは否めませんでした。

 

この助成金の大きな特徴は、財源が雇用保険ではなく労災保険であることです。

したがって、従業員が学生のアルバイト、短時間勤務のパートタイマーや外国人技能実習生だけの企業であっても労災保険に加入して会社が保険料を支払っていれば支給対象になり得ます。

また、購入した機器やコンサルティング、外部講師による研修など、実際行った取り組みに対して、後日助成金が支給されるというもので、どちらかと言えば補助金に近いイメージがあります。

 

もう一つ大きな特徴は、この助成金は通年で募集をしているのではなく、期間限定での募集になります。そして実は、今年度の募集は既に締め切られていました。

それを、テレワークコース・職場意識改善コースに限って特例で復活することになりました。

 

 

○テレワークコースの特例

 

①対象事業主

 新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規で導入する中小企業主になります。これ以外に要件はありません。売上げの落ち込みなどの要因は必要なく、ただテレワークを導入すれば良いということになります。

ただし、通常のテレワークコースでは、過去にこの助成金を受給した企業であっても、対象労働者を2倍に増加してテレワークに取り組む場合に、再度助成金の申請が可能になりますが、この特例では過去にこの助成金を受給したことのある企業は対象外になります。

 

②支給対象となる取り組み

 ・テレワーク用通信機器の導入・運用

  例えば、WEB会議用機器、社内のパソコンを遠隔操作するための機器やソフトウエア、クラウドサービスの導入などが該当します。通常はサテライトオフィス等の利用料も対象になるのですが、特例で対象になるのかは現時点では分かりません。

なお、パソコン、タブレットなどの購入費用は助成対象外です。

 ・就業規則・労使協定等の作成・変更

 ・労務管理者や労働者に対する研修

 ・外部専門家による導入のためのコンサルティング

これらの取り組みをいずれか1つ以上実施することが必要です。

(現時点で、研修やコンサルティングが該当するかは不明です)

 

 

②令和2年2月17日以降に行った取り組みについては、交付決定を行う目であっても、助成の対象となる

 

 通常、時間外労働改善助成金は、対象事業(この場合はテレワークの導入)を行う前に、交付の申請をします。この事業が本当に時間外労働の改善や労働時間の短縮につながるか?購入しようとする機器の金額は適正なのか?などを審査し、許可が降りてから事業を開始することになります。

しかし、今回の特例では、2月17日以降の取り組みであれば、先に機器を購入しても助成の対象になります。つまり、必要な書類は後から出しても構わないということで、急いでテレワークを導入することが可能になります。

 

③成果目標達成による増額は無し

 

本来この助成金は、対象労働者全員に1回以上テレワークを実施する、年次有給休暇の取得日数を前年より4日以上増加させるなどの成果目標が設定されており、それらを全部達成すると助成額が増えるのですが、特例では、すべての企業は未達成扱いとなります。

 

④要件

事業実施期間中にテレワークを実施した労働者が1人以上いること

 

⑤事業実施期間

令和2年2月17日~令和2年5月31日

 

⑥支給額

補助率 2分の1

1企業あたりの上限額 100万円

 

現時点(3月8日)で、発表されている情報は以上になります。

詳細は今後決定されるという状況ですので、新たな情報が出て来た場合は、随時こちらのブログを更新していきますのでご確認をお願い致します。

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