労使協定を作るときに気を付けることのラストの回になります。
6.評価について
派遣労働者の勤務評価についても記載しなければならない事項です。
評価制度がある場合は、その旨を記載するのが良いです。現時点で評価制度が無い場合はこの協定を結ぶに当たり作成した方が良いのではないでしょうか。もっとも今からでは間に合わない可能性も高いので、その際は、
「派遣労働者の評価については期初に個別目標を設定し、半期ごとに個別面談を実施し、目標の達成度、仕事への取り組み姿勢などを確認することで行う」
とだけ記載して、今後じっくりと決めていく方法もあります。
7.その他
賃金以外の待遇についても記載が必要です。派遣労働者が社員であれば、「就業規則による」だけで問題ないですが、有期雇用や短時間勤務の従業員ですと、以前のブログで記載したとおり、一般的な同一労働同一賃金のことも踏まえないといけません。
社員食堂や休憩室、更衣室は派遣元の社員同様に利用を認める必要があります。実際のところ派遣先に就労しているので、派遣元の社食を利用することは皆無であったとしても、明記するようにします。
また、通常社員が行っている事業に密接に関連する教育訓練も派遣労働者に受けさせなければなりませんので、記載の必要があります。
以上をまとめて
「教育訓練、社員食堂、休憩室及び更衣室の利用については正社員と同一とする」
というようにします。
その他の福利厚生についても記載できるものがあれば記載しましょう。
通常の派遣労働者に対して行うキャリアアップを図るための段階的かつ体系的な教育訓練(労働者派遣法第30条の2に規定)は、法律上の義務ですし同一労働同一賃金とは別問題なので改めて協定に書く必要はないと思いますが、記載すべき事項に「教育訓練」がありますので、一応書いておきましょう。
最後に「本協定に定めのない事項については、別途、労使で誠実に協議する」の条文を忘れないようにしてください。
8.有効期間をどうするか
有効期間については、2年以内にするのが望ましいとされています。毎年毎年協定を結ぶのは煩わしいとお考えならば2年にするのが良いでしょう。
ただ、安倍政権下では毎年最低賃金が2%以上、上がっている状況で、来年の局長通達の統計数値も、一般賃金額が上昇している可能性があります。ですので、最初のうちは有効期間を1年にしておくのが無難だと思います。
もし、2年にしたいのならば、協定書の中には具体的な金額や数値は極力書き込まないで、数値的な部分は別表にまとめ、別表だけを変更するというやり方にするのをお勧めします。
以上、色々と書いてきましたが、最も大切なことは4月1日までに協定を締結するというこです。もし間に合わなければ、原則の派遣先均等・均衡方式にしないといけません。
その様な心配がある企業は、下記の厚労省のHPに労使協定のイメージ(Word版)がありますので、それを使って必要な箇所だけ修正し、労使協定だけは締結するようにしてください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html